試合に勝って勝負に負けた関塚ジャパン。日本の育成方針の方向性は正しいことを実感

ロングボールから個人技で2失点。見慣れた光景がまた繰り返されて韓国に敗北してしまいました。ボールは日本が支配していただけに、スペインやモロッコの気持ちがよくわかったような気がします。銅メダルをとれなかったのは残念ですが、育成という意味では日本は自分たちがやりたいサッカーができていたのではないかと思います。
対する韓国は、勝つためになりふり構わないサッカーを展開してました。このオリンピックを見てると、日本はグループリーグのスペイン、モロッコ戦は勝負に徹していましたが、決勝トーナメントでは自分たちの形でサッカーをやろうとしていたように見えました。強豪相手にはなかなか自分の形で試合をさせてもらえないので、堅守速攻の形を取らざるを得ませんが、互角または格下相手には自分たちの形での試合が可能です。オリンピックを育成の場と考えるなら、一時の勝負よりできる限り自分のサッカーを貫くことが必要なときもあるでしょう。とは言え、今回はメダルのチャンスもあっただけに、自分のスタイルで勝てれば最高だったんですが、そうはならなかったし、韓国みたいにロングボールで決められるほどあの攻撃スタイルを得意としないというのもありましたけどね。
考えようによっては韓国はプライドを捨てて格上相手に対するやり方で勝利をとりに来たというわけです。まあ、疲労からそういう選択肢をとるしかなかったのかも知れませんけど、結果だけ追い求めていると将来につけを残すことになると思いますけどね。
そもそもサッカーの目指す方向性が日本と韓国では違いがあると思っています。日本はフィジカルのハンディをカバーするためにスピードとテクニックを使ってショートパスで相手を崩すサッカーで、これはフィジカル面で北ヨーロッパイングランド・ドイツなどには劣っているスペインを始めとするラテン系の国がやってるやり方です。方向性としてはこれが正しいと思います。
対して韓国はどうでしょうか。相変わらずキックアンドラッシュ、FWにぶつけて駆け上がるサッカーでしか勝つスタイルがなく、フィジカル的に優勢に立てるアジアでは通用しても、ヨーロッパ、中南米の国にはいつまでも互角に戦うことはできません。アジアで勝ててしまっていることが逆に仇になってくると思いますし、すでにその傾向が出始めていると思います。何年か前に韓国の高校生のサッカーがキックアンドラッシュのパワープレーのスタイルのチームが優勝する傾向が強いことから、このスタイルから脱却できないでいるという話を聞いたことがあります。
A代表同士では日韓のプレースタイルの違いが如実に現れます。韓国がショートパスでつなごうとしても日本のようにはうまくいかず、日本に勝てない状態が2年ほど続いています。育成時代にショートパスをつなぐサッカーをやってきてないわけですから、できなくて当たり前です。結局この戦術においては日韓には差ができてきたと思っています。韓国が日本に勝つには古典的なサッカーをやるしかないという状況があって、日韓戦では負けられないとなると従来のスタイルから脱却できなくても当然かも知れません。
日本のJリーグができて20年が過ぎました。育成は順調に進んでいますし、これから先もさらに今の選手達を凌ぐ選手がどんどん排出されてくるでしょう。いつかはメッシやネイマールのような選手が出てきて欲しいです。Jリーグじゃなくて残念ですが、バルサの久保くんなどはその才能の一つと呼べるでしょう。でも最終的な結論は5年後くらいでしょうかね。
スポーツエリートと呼ばれる人たちが野球ではなくサッカーをやり始めれば、ますます強くなっていくでしょう。10年〜20年後にはヨーロッパ、南米のどのチームとやっても互角に渡り合える国になっていて欲しいですね。その先にW杯優勝もありえると思います。