ブラジルW杯のベスト4が決まってみて思うこと

準々決勝が終わり、残った顔ぶれは、ブラジル、ドイツ、アルゼンチン、オランダ。大会前に優勝候補と言われているところが順当に勝ち残ったという感じだ。あえて言うならここにスペインの名があってもおかしくはなかっただろうが、彼らはGLで敗退した。
準々決勝の試合を見ていて思うのは、「やはりフィジカルは重要」ということだ。少なくとも相手に当たられた時に簡単に飛ばされたり、転んだりしないくらいの肉体が必要ということになる。
日本人を含むアジア(オーストラリアは除く)にとっては、このあたりは大きなハンディキャップとなる。欧米やアフリカに比べて人種的に体格が貧弱だからだ。なのでひたすらアジリティで勝負するしかない。EURO2012まではスペインがこのあたりをカバーする方法としてショートパスをつなぐポゼッションサッカーにより、フィジカルコンタクトを回避することに成功していたが、その対策もなされた今大会はフィジカルコンタクトにまさる国が完全に優位な状況にある。とくにドイツなどは、あの体格でポゼッションサッカーを展開しているから始末が悪い。
準々決勝のオランダvsコスタリカでは、コスタリカがいつもの早く攻めるプレーができず、もがいていたのが見て取れた。1対1でのボールの奪い合いは、ほとんどオランダが勝っていた。五分五分のボールを獲れなければ、戦況が不利になるのは当たり前だ。こういうところで勝てるものが必要だ。
体の大きさ、足の長さで劣る日本がこうした国に対向するためには、どうしていかなければならないのだろう。メキシコやチリのサッカーをひたすら目指しても、限界が見えていることもわかった。となると、さらにそれ以上のものが必要になるということだろう。
日本ではスポートエリートと呼ばれる人たちの多くが野球をやっている。体格がいい人たちはラグビーアメリカンフットボールをやっていたりする。世界的にみれば、この分野で日本人の中で体格やスポーツ能力が高いだけでは通用するような競技ではない。できれば、こういう連中が「まずはサッカーから始める」くらいでないとサッカーのレベルアップは頭打ちになるだろう。または、優秀な人材を帰化させるとか…(中東あたりでよくやっている)
先発で本田レベルのフィジカルの選手がチーム内に7人くらいいなければ、W杯4強にいるような国と肩を並べるなどは遠い先のような気がする。20年後の日本サッカーはどうなっているだろう。サッカーの人気を高め、裾野をもっともっと広げなければ実現は程遠い。Jリーグを盛り上げ、サッカーが野球並みに生活に浸透し、文化レベルにまでなっていく、これができないうちは、「W杯優勝」を口にしないことだ。
なでしこジャパンの例があるとはいえ、男子の場合は世界のほうが先行しているため、超えなければならない壁の高さは段違いなのだ。